薬指の秘密
「今やってるハイジャックのやつ。あれは面白そうかなと」

「んー、あれより私実写化したやつの方が見たいな」

キャストが意外とはまってたんだよね

……

「で、映画行くの」

「違う」

「違うか。じゃあ……」

ふと視線を投げた窓の外

通り過ぎていくのは、何度も立ち止まったあのお店

小さな、小さな夢

叶わなくったって構わない

でも、叶えてくれるなら、叶うのなら

一度だけ、言葉じゃない、態度じゃない

その想いを形にしてほしい

ただそれだけ

でも、相手が海斗じゃないのならやっぱりそれは夢のままだと

いつか現実に戻ってしまうのだと気がついてしまった

だったらいっそのこと夢は夢のまま終わらせる方がいい

「しるふ」

呼ばれてはたと視線を上げれば、シートベルトを外す海斗と止まった車


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