薬指の秘密
「やっぱり今日の海斗は海斗らしくない」

そう紡ぐ口元は、言葉とは裏腹に嬉しそうに笑みを浮かべている

両腕を首に絡ませて上体を軽く持ち上げれば

重なる唇

すぐに後頭部に回された大きな手と逆に体重をかけられてさらりとシーツが鳴る

唇が離れてゆっくりと瞳を上げると吐息すら感じる距離にある漆黒の瞳

笑いだすのは二人同時

額が合わさるのも

再び重なった唇は、どちらからだろう

抱き締められて回した逞しい背越しに自分の指にはまった輝きが見える

このシルバーの輝きのように

ずっとずっと色褪せない様に

大切に、大切に抱えていこう

「…海斗」

大好きだよ

背に回した手に力を込めながら囁く

「知ってる」

返された海斗の声が耳元で低く、優しく響いた


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