薬指の秘密
「別にいちゃついて何て」

「もう、すこしめをはなすとこれなんだから」

「志保ちゃん、別に本当いちゃついてなんか」

「だめでしょ。しごとちゅうなんだから」

「…はい」

ふ、と吹き出したのは海斗だ

「6歳児になんて言われよう」

「失礼ー。お言葉ですけどね、そんな私と付き合ってるのは」

「たちばなせんせい」

「…はい」

すみませんでした

ふと息をつくと海斗の快活な笑い声が頭上から響いてじっとりと睨み付ける


とまあ、しるふの最低限の希望に沿いつつ

小児科の子供たちに見送られながら受付を後にする

我ながら立派に装飾されたと思う

もちろん一番高いところにただづむ金色の星の曲がり具合もちゃんと直した

しるふに「も少し右、あ、行き過ぎ。今度左」

なんて細かい指示を受けながら
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