キュンとする距離
中学でも高校でも、『山内って、ほんとちぃのこと好きだよねー。』と、仲のいい子から初対面に近い子いろんな人にそう言われてきた。
そんな時いつでも、嬉しそうに『まぁねー。』と返していた山内。
どこまで本当なんだか。
でも、否定をしない彼のせいでいつしか私たちは付き合ってると噂されるようになった。
全くもってうわごとにすぎないけれど。
私に寄ってくる男子は、もちろんいなくなっていったことは言うまでもない。
好きになるもなにも、話すことがないからこちらから寄っていくこともまたなかった。
「なぁ、なんでちひろって俺の顔みないの?」
ようやくきたエレベーターには、残念ながら人は乗っていなく2人だけの空間ができてしまった。
「別に理由はない。」
そう理由なんてない。
いつからか、やつの目を見て話すことはなくなっていた。
「なぁ、ミートソースもペペロンチーノもだめならさ、なんか食いに行かね?」
「なぁなぁ、うるさいなぁ。」