キュンとする距離
あぁ、なんでこのエレベーターこんなに遅いかな。
早く、この箱の中から出たい。
なかなか減らない数字を見ながら、はぁ。と小さくため息をついてうなだれたその時だった。
耳元でバンと言う大きな音がして、必然的に壁に背中をくっつける。
「ちょ、なにすんのよ!」
「やっと目合わせてくれた。」
20センチほど、上から見下ろされ不覚にも高鳴る鼓動。
なんでなんでなんで、この距離なんかだめ。
胸が締め付けられるような感覚。
やっぱりニタニタ笑うあいつに、なぜかきゅんとしてる自分がいる。
「そろそろ告白させてよ。」
「はぁ?」
冷たく当たることで、いつものペースを取り戻そうとしてみるけど目を背けようとしたらあごをくいっと上げられてまたもペースを乱される。
「もう10年近くちひろのこと好き。結構オープンにしてたのに、全く気づかないし。周りから固めてもだめだし。」