キュンとする距離


突然の告白に驚いて声もでない。

そりゃ、昔からからかわれてきたしなんとなくそうなのかなって自惚れじゃなく思っていた。

でも、山内はなんにも言わないし。


「なにそれ。」


ドン


左側だけじゃなく、右側も塞がれもう身動きがとれない。

さっきの倍高鳴る鼓動。


「ちひろのこと好き。付き合おう。」


ニタニタした顔から一転、真剣な眼差しを向けられてより一層きゅんとする。

あぁ、山内ってこんなに綺麗な目してたんだ。くっきりした二重で、瞳はわりと明るい茶色。

そうだ、いつからかこいつと目を見て話せなくなったのはこの目に吸い込まれそうになったからだ。

高校2年の時だった。

他校の生徒に告白されたところを、たまたま山内が見てて今みたいに壁ドンされたんだ。

それで問い詰められて。

あぁ、そうかその時だ。綺麗な目にきゅとして、きっとこのときに私は恋をしたんだ。

それから緊張して目を合わせられなくなって。

いつからか苦手なやつに変換されてしまったんだ。
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