先輩、次こそ『壁ドン』やります! 【壁ドン企画】
「………実はさ。あたしも年下のコに壁ドンされるとか、非日常すぎて今ちょっとドキっとした」
「かべどん………?」
「知らない?少女漫画の新定番」

たしかバラエティ番組で、イケメン俳優がやっていたのを見た気がする。

「えっと。女の子を壁際に追い詰めて、ちょっと強引に迫るヤツっすか?」
「そうそれ。京くんの場合は、『壁ドンっ』っていうより『壁トン』って感じかな?」

そういって先輩がちょっといたずらっぽい笑みで俺の腕を指差してくる。駄目出しってわけじゃないんだろうけど。なんて中途半端なことしたんだ、俺。先輩の指摘にいっそ申し訳ない気分になってくる。

「………『トン』じゃダサいっすね。すみません、流行りに乗りきれないヤツで」

やるならもっと強気な感じで行った方が、先輩の心にグッと迫れたかもしれないのに。これだからホーランドロップに似てるだとか、草食系だとかっていっつも口の悪い先輩たちに揶揄われるんだ。

「べつにいいんじゃない?京くんぽくてあたしはいいと思うけど、『トン』でも」
「………俺はここぞというときに決めきれない自分が恥ずかしくて死にそうです」

その場にぐにゃぐにゃ潰れそうになると。先輩が俺の腕をつん、と突いて「これも悪くないと思うよ」なんて思わせぶりなことを言ってきた。

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