『スキ』だと言って!
「京夜様は………私の事が……お嫌いですか?」
「はっ?………ちょっ、希和、どうした?」
私は彼をまっすぐ見据えて、
1歩、また1歩と真剣な眼差しでにじり寄る。
私がこんな行動を取るのなんて初めてだから、
彼は物凄く驚いた様子で後ずさりを始めた。
そして、
―――――ドンッ!!
「んッ?!」
彼の背中がドアに到達した。
それでも、私は彼ににじり寄る。
私だって、やる時はやるのよ!!
これでも名の通った国際大会で優勝した事だってあるんだから。
こんな時の為に武術を習ってた訳じゃないけど、
ここまで来たら、負けるもんですか!!
武術を極めた人間の底力を想い知るがいい!!
私は彼の身体を拘束するように、双方の腕で彼を閉じ込めた。
物凄い、至近距離。
斜め上20㎝からの視線を感じながら、
それでも負けじと彼の瞳をじっと見つめ、
「私の事………どう………思ってるんですか?」