『スキ』だと言って!


『負けるもんか!』と思いながらも、不安で不安で仕方ない。


もし、『遊び』だとか『気まぐれ』だとか言われたら

きっと、心が折れてしまう。


こんな風に近くにいるだけでドキドキして、

こんな風に私だけを見つめてくれると胸がキュンとする。

私はこんなにも好きなのに……。


「どうって、よく気が利くし何事にも前向きだし、素直だし料理上手だし……」

「…………もう!!そういう事を聞いてるんじゃないんです!!」

「じゃあ、何て言って欲しいんだ?」

「………」


何で大事なことが抜けてるの?

あるでしょ? 普通、一番最初に言う言葉が!!


言って欲しいのに言ってくれない。

察して欲しいのに察してくれない。


もう! 

もう少し、乙女心を察してくれたっていいじゃない!!


あまりの悔しさにじんわりと涙が滲み始めると、


「希和、……………不安なんだろ」

「ッ?!」


解ってるなら何で言ってくれないのよ!!

本当に最悪なほどに性格が歪んでる。


彼の鋭い視線に耐え切れず、一瞬視線を逸らすと


「んッ?!」


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