『スキ』だと言って!


「こんな身なりですけど、私だって一応『女』なんです」

「それで?」

「たまには甘い言葉だって聞きたくなります」

「だから?」

「一度でいいです!」

「………」

「たった一度でいいから、『スキ』だと言って!」



私は決死の覚悟で初めて強請った。

………甘い囁きを。


自分で言っておいて恥ずかしくなる。

だって、直ぐ目の前に大好きな彼がいて、

こんな至近距離で彼の気持ちが聞けると思うと、

胸が煩いほどに暴れ始めた。


すると、


「そういうのって、無理やり言わせて嬉しいのか?」

「へ?」

「心のこもって無いセリフでいいなら、何度でも言ってやるが……」

「ッ?!」

「お前は俺の気持ちが知りたいんだろ?」

「………」


心の奥までまっすぐ見透かすような鋭い視線。

私の淡い期待すら残酷にも圧潰す。


彼の言葉が心に突き刺さる。

だって、こんなにも必死にお願いしてるのに

たった一言ですら言って貰えないなんて……。



思わず、堪え切れなくなり涙が溢れ出した。

すると、


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