君とみた蒼空


「詩音、じゃあね」


ホームルームの先生の長い話がやっと終わると、歩実が私に手を振った。



「うん、じゃあね」


舞と歩実が部活に行ってしまい、私はひとりで教室を出た。


ちなみに、舞は歩実と同じバレー部に入っている。


「しーおーん! 今から帰んの?」



私が廊下を歩いていると、後ろから大きな声で叫びながら蒼くんが追いかけてきた。


蒼くんのよく通る大きな声に、まわりの生徒たちが一斉に振り返る。


ちょっと、蒼くん………。


「あ、蒼くん……。恥ずかしいからやめてよ」


「え? 何が?」


蒼くんは、まわりに注目されているのも気づかずに首を傾げた。


こういう素直すぎるところも、みんなから好かれる理由なんだろうな……。



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