君とみた蒼空


奈津ちゃんとは、あの日以来喋ってないけど………前、廊下ですれ違ったときに睨まれたような気がした。


「詩音さん」


聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにいたのは奈津ちゃんだった。


私よりも背が高くて、ストレートな黒髪が風になびいてる。


「蒼と関わらないでって、言ったでしょ」


やっぱり、そのことか。


「あなたは、蒼のことが好きなの?」


私がこくりと頷くと、奈津ちゃんは黙って俯いた。


舞は、何も言わずに私の隣で固まってる。


「なんで、蒼くんと関わったらいけないの?」


私の問いに、奈津ちゃんは顔を上げた。


「………それは、私も蒼のことが好きだからよ」



< 51 / 413 >

この作品をシェア

pagetop