君とみた蒼空


ここが歩道の真ん中だと言うことも忘れて、私たちは三人で突っ立っていた。


「…………蒼は、幼なじみだけど………“好き”とだけは言えない」


ライバルだけど、彼女が言うその気持ちはなんとなく分かった。


「そんなときに、あなたと蒼が出会って………蒼に、好きな人ができた」


え…………。


それが、この前言っていた蒼くんの“好きな人”なのかな…………。




「蒼は、あなたのことが好きなんだよ」




奈津ちゃんのまっすぐで悲しげな瞳は、紛れもなく私に向けられていた。


「だから、悔しくて………。ずっと蒼を支えてきたのは私なのに、どうして蒼は私の方を向いてくれないんだろうって」



< 52 / 413 >

この作品をシェア

pagetop