多重人格者【完結】
「俺が起こった事を全て話すのもいいけど、何度も聞きたくないだろ?
だから、知らない事だけ話す」
「あ、うん。えっと、知ってるのは殺樹が椅子とかで…痛めつけたって事と、意識が戻らない人がいるって事かな。
後、それを心君が止めたってのも聞いた」
「……そっか、知ってるのはそれだけか」
「それだけって、そんなにたくさん何かしたの?」
心君は難しい顔をしながら、いや、と首を振る。
「してないよ。教えるからちゃんと聞いてね」
なるべく声のボリュームを抑えながら、心君は何があったかを教えてくれた。
家に来て、葉月が説得してくれた事や、奈乃香さんの目の前で他の人格が出てしまい、バレた事。
心君の家に泊まった事。
胸が苦しくなる事ばかりだった。
奈乃香さんに迷惑かけたくなかったのに、やっぱり迷惑かけちゃったんだ。
葉月にだって。
「……あやめ、これは全て俺が悪い」
心君は深く皺の刻まれた眉根を更に寄せる。