サクラと密月


男性なら尚更だ。


「キレイっすね。」



そうねですね、と私。



一瞬時間を忘れて見上げていたらしい。



次の電車の団体がやって来た。


「あ、ヤバ、行きましょうか。」


私は頷いて一緒に歩きだした。



約束の場所は、少し歩いた所にあった。



桜の下には、芝があり既に何人かが来ていた。


しかも年配の方もいる。



あきらかに役員クラスだ。恵介はもう来ていた。


また例の彼女が隣にいる。今夜はさらに別のが二人もついている。


しかも役員まで。



和彦がいたから声をかけてもらえたが、一人なら入れない雰囲気だ。


和彦は頼まれものがあったらしく、幹事のひとらしき人物に荷物を渡した。


自分もついでに渡す。


「未羽さんここにすわって。」


和彦に言われた通り、隣の人に挨拶をして座る。



和彦は仕事を頼まれて何処かへ行ってしまった。



飲み物をもらい口をつける。



恵介の方を見る。


役員の方が、例の彼女に声をかけた。


「おいおい、一人じめはよくないな。」


恵介の同僚の人も声をかける。


「せっかく彼女もきたんだし、席を変わったらどうかな?」



彼女は全く譲る気配がなかった。


それに何処か、さらにパワーアップして、彼にしなだれかかっていた。



ありえない。



「大丈夫ですよ。私だって、もう要なしです。こんな人。」



だってそう強がるしか、他に自分のプライド保てなかったたんだもの。



強がりな、でも惨めな自分。


まだ少し寒い夜。


ちっとも酔わない。


だけど、トイレは近くなる。


一人で席をたった。



トイレを探して公園を歩いた。


週末の夜。



春を待ちわびた人達が、楽しく過ごしている。


カップルや家族連れもいた。


しばらくいくと、何もない広場に出た。


その真ん中に大きな桜の木があった。



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