サクラと密月
食事が終わると、ハルの車で移動。
辺りはすっかり夜だ、空には星が沢山出ていた。
駅のそばにある、街の中の小さな楽器店に向かった。
通りに面した交差点の角にあるその店は、ビルになっていて入口の横に窓がある。
そこから外に見えるように窓に楽器が吊るしてあった。
ハルの後ろを歩いて店に入った。
大きな木製の扉を開けると、音楽が流れてきた。
こじんまりとしたその店の中は、楽器で溢れていた。
窓以外の壁という壁には、隙間がないほど色々な楽器が掛けてあった。
その量の多さに圧倒された。
挨拶をしながら、彼は奥へと進んだ。
「俺、見たい部品があるんだ、部品あっちなんだけど。CDあっちだよ、見てくれば。」
楽器の多さに目を奪われていたが、CDのコーナーもちゃんとあった。
頷いた私は、指さされた方にある腰ほどの高さの棚のほうへと歩いた。
彼は反対の楽器が多い場所へと移動した。
彼の言う通り、ジャズのCDが沢山置いてあった。
初めてなのでよくわからなくて、きょろきょろする。
CDに貼ってある店員さんの、おススメの小さなメモを見てみたり、試聴できるコーナー
を見つけて、ヘッドフォンを頭に着けて試聴してみた。
結局、良く解らなくて色々な曲の入ったオムニバスにした。
ハルは何をしているか確認する。
お店の人と何か話している。
楽器の事みたい。
少し様子を見る。
店員さんと楽しそうに話している。
店員さんも楽しそうだ。
知り合いなのかな。
ついでに他のコーナーも見物する。
CD屋といえば、モールなどにあるCDやDVD専門の店しか知らない私には未知の世界。
見ているだけで楽しかった。