サクラと密月
パルコでも行こうかな。
地下街で甘いもの買っちゃおうかな。
金曜の夕方だから人が一杯だ。
そうだ、あの曲何だろう。
パルコでCDショップを探した。
店の前にモニターがあって、さっきの曲がPVで流れていた。
ああ、これだ。
立ち止まり曲に耳を傾ける。
何だろう、凄く良くわかる。
そっか、この曲はあの日の私なんだ。
あの日のどうしようもなく、一人ぼっちだった自分なんだ。
あの日のどうしようもない寂しさを思い出した。
この気持ちに恵介は気づいているのだろうか。
そして今も。
どうしたらよいのか途方にくれる自分。
でも、この曲とても綺麗だ。
桜が舞い散るのが見えるよう。
確かに桜は綺麗だった。
和彦と見上げ桜の木。
一瞬とも永遠とも思える、彼と見上げたあの瞬間。
そして彼の笑顔。
心の中にじんわりと、暖かいものが心に広がったのを覚えている。
私は一人じゃないと。
その喜びはでも、気づいてはいけない物だとわかっていた。
だから彼に確かめることもせず、その喜びさえ封印していた。
でも、本当の自分はどうなんだろう。
確認してみたい衝動と、確かめるのが怖い自分。
それが、ここで立ち止まっている理由のような気がした。
胸を締め付けるようなこの胸のざわめきは、いつも自分にまとわりついて離れない