サクラと密月



 改ためて聴く曲はとても素敵で、そんな気持ちも思い出させてくれた。


和彦のアドレス聞いておけば良かったと少し後悔する。


この曲、すごく気に入った。


モニターを見ながら、CDを買ってしまおうか迷っていると、後ろから


聞き覚えのある声がした。」


「あれ?未羽さんじゃないですか?どうしたんですか、こんな所で。」



振り向くとそこには和彦が立っていたのだった。彼は笑顔で私に近づいてきた。


あまりにびっくりしたので言葉も出ない。



だって今まで、貴方のこと考えていたんだから。



ああ、彼が自分の顔をじっと見つめる。


駄目駄目、しっかりしなきゃ。


「和彦さんこそ、どうしてここに?凄くびっくりした。」


「俺は、このCD買いに来ました!!凄く欲しかったから。」


そう言ってCDを手に取った。


そして見つめている。


なんか子どもみたい。


時々見せてくれるそのアンバランスな表情が胸を掴む。


貴方のこともっと知りたくなる自分に戸惑う。


「そうなんだ、私もさっき公園で演奏聴いて。凄く良くて、気になってここに来ました。


そしたら、ここにこんな風に飾り付けしてあったから見てたんです。」


そう話しかけた。


すると和彦は驚いてこう話した。


「本当ですか?それ本物じゃないですか?もしかしたら。いいなぁ!!俺も見たかった!!


彼ら東京にいるから、もう栄じゃあんまり見れないんですよね。」


通りで演奏上手だと思った。


「そうなんだ、嬉しいな。凄く良かったですよ。だから余計迷ってしまって。


そうなら記念に買っちゃおう♪」


そう言って隣りで彼に笑いかけた。



彼の目が凄く優しいのに今気がついた。


どうしてそんなに優しいのかな、勘違いしてしまいそうになる。


彼の隣はとても居心地が良くて、ずっと彼と話しをしたくなっている自分に気がつく。


「これで未羽さんと俺仲間ですね。」


そう言って彼が笑った。

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