サクラと密月



近頃流行りのバラード。


とても上手だった。


彼氏に歌って貰えたら嬉しいだろうな。と思って聞いていた。


和彦を盗み見てみる。


 実はあった時から、気になっていたのだ。


良くみると、とても整った顔立ちだ。


健康そうな肌の色。


ジャケットを脱いだ、シャツの上からでも分かる筋肉質な腕。



何か運動してたのかな。



営業の人はそういう人多いよね。


さぞやモテるのだろうな、見とれていると不意に彼の目に、涙が滲んだ。


ああ、彼女とひょつとしてそんなに深刻なんだ。




「ダメだ!思いだした!」


そう言って顔を手でおおいか覆い隠す。その姿がなんか愛らしい。思わず吹き出して

しまった。


自分の気持ちとちゃんと向きあって、見つめてる姿いいな。



彼女に少し嫉妬した。



私のことも誰かこんな風に思って瞳を潤ませてくれるのだろうか。



あんまり自信ないわ。



彼女さんが心底羨ましかった。


そして、そんな風に心を動かす彼が素敵に見えた。



いったいどんな恋だったんだろう。


性格もスタイルの良い彼が、こんな風にウロウロする姿は少し意外で、


でもとても好感がもてた。


自分もそんな恋してるのかな?恵介は私達のこといったいどう思ってるんだろう。


「和彦さん、カッコいいから大丈夫ですよ。」


思わず、言ってしまった。


すると和彦の顔が少し明るくなった。


これはメチャメチャもモテるんじゃないかな。私がフリーならちょっと誰にも


渡したくない気分。



「和彦さんモテるでしょ」つい、本音が出てしまう。


彼はそんなことないですよ!と笑った。


その顔を見てたら何故か変なドキドキが私を襲った。


そんな自分に気づかれたくなくて、言葉を続けてた。


「大丈夫ですよ!こんなに素敵な人、私なら離さないかな。」言ってから、


言葉の意味に少しびっくりした。



まるで告白だ。



今日が初対面の人なのに。きっと自分も少し酔っているのだ。



多分そう。



そんな自分を誤魔化すみたいに、つぶやい呟いた。



「えーい!!私も歌おう!」


私も近頃流行りの未練たらたらのバラードを歌ってみた。


ちょっとスッキリする。


その次は彼だ。





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