サクラと密月



ギターのソロで始まるその曲。


MVが流れ始めた。


桜の下で誰かを待ってる歌。


何より曲の美しさに心奪われた。


彼が 歌うとまた迫るものがある。


終わった時には、真剣に拍手していた。


「この曲、俺凄く好きなんです。あースッキリした。


このバンド名古屋出身らしいですよ。」


そうなんだ、知らなかった。


そう言って、今度は今流行りのアイドルの曲を入れた。


二人で合唱になった。


踊りもつけて一緒に歌う。


楽しい♪


「あー楽しかった!!」そう言って二人で笑った。


彼がジュースを頼んだので、その間にトイレに行く。


ついでに恵介を探す。



恵介は、トイレのそばのボックスにいた。



 中をのぞくと、なんと例の女の子と並び、二人でくっついて歌っている


ではないか。


ちょっと!そこは私の席‥


凄くそう言いたかった。


それ以上に、彼にそう言って欲しかった。


とても声を掛ける気にならなかった。

とりあえずボックスにもどった。


ショックのあまり頭が真っ白になっている。


自分でも分かる。


少し救われたのは、戻った時に同僚さんが起きていて、


皆で歌うともりあがる曲を歌っていた。


しかも楽しそうに肩を組んで。


このメンバーなら盛り上がっても大丈夫そう。



そうだ、忘れちゃえ。




多分私見間違いだ。多分そう。不安な自分を振り切る様に、私も一緒に歌いだす。


そして今気がついた。


和彦が歌が上手だということに。


何か神様は理不尽だと思った。けど、ま、許してあげよう。お蔭でこんなに楽しいんだから。


時間も忘れて歌っていると、おひらきの時間になった。




カラオケボックスを出て店の前でウロウロしていると、ようやく恵介が隣に来た。


しかも、例の彼女も一緒だった。




恵介がチラリとこちらを見る。]


例の彼女もだ。



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