「私は貴方のモノ」【完結】
「えっと、何か飲む?」
「いや、別に」
「そうですか」
そう言うと、陽子も座ってメイクを再開した。
マスカラを塗りながら、陽子が口を開く。
「私、基本的にメイク中って男に見られたくないし、絶対部屋になんか入れないんだけど…、彬さんとは話したかったから」
「……話?」
「そう。話」
パッチリになった目で、じっと俺を真っ直ぐに見つめる。
その視線を受け止めながら、俺はくくっと喉を鳴らした。
「成程ね」
陽子がどうして俺に会いたいと言ったのか。
その理由は他にあったからだ。
「単刀直入に訊くけど…多恵に何したの?」
そう尋ねられて、俺の動きがぴたりと止まった。
タエに、何をしたかって?