「私は貴方のモノ」【完結】
タエにきちんともう一度自覚させるんだ。
お前は俺のモノで、俺に買われたペットなのだと。
自由なんてない。
勝手に部屋を出ていいわけがない。
そして。
俺はそんなお前を可愛がるただのご主人様なんだと。
好き、ってのはきっと思い過ごしだ。
携帯でタケルに電話をかける。
『はいはいー。彬、もう講義始まるよー』
呑気なタケルの言葉を遮って、俺は尋ねた。
「陽子が今日受ける講義知ってるか」
『え?陽子?』
「知ってるのか、知らないのか。どっちだ」
『今日必修じゃなかったっけ?わからん』
「わかった」
『おい、彬っ?』
まだ何か言うタケルを無視して、俺は通話を終わらせた。
ハンドルを握る手が強くなる。
何かが俺の中で煮え滾っている様な感覚。
タエをぐちゃぐちゃに壊してやりたくて。
全て関係なしに、抱いて、閉じ込めて。
逃げるなんて選択肢を出せない様に。
一緒にいたら酷い事をしてしまいそうなのは目に見えていた。