「私は貴方のモノ」【完結】
「また金貸してくれってよ。あはは。どうしようもね」
「……そうか」
人間ってのは、そうそう改心なんて出来ない。
同じ事を繰り返す。
どれだけの対価を支払ったのか。
あの父親はわかっていない。
自分の大事な娘を手放したのに。
タエには…、言えねえな。
「今何時だ?」
「ああ、えっと…17時」
「……後で、一旦家に帰る」
「は」
三本木はキョトンとした顔で、こっちを見ていた。
どうしてそんな顔をするのかわからずに、俺の眉根が寄る。
「あはは。彬って律儀だな。別にわざわざ教えなくてもいいのに。
出て来ようが、どこに行こうが止めねえから」
「……」
「本当に真面目だわ」
「どこがだ」
「だって、女に家を空けるって教えるんだろ?」
「……」
図星で、目を見開く。
その姿が更に三本木の笑いを誘ったらしい。
ケラケラ笑っている。