「私は貴方のモノ」【完結】
「……、帰ってたのか」
「あ。悪い。起こしたか?」
三本木はシャツのボタンを外しながら、冷蔵庫を開けている。
中から取り出したのはビールだ。
さっき、おかわりを貰う為に冷蔵庫を開けたらビールで埋め尽くされていて苦笑した。
「ぐっすり寝てたみたいだったからな」
「……」
プシュっとプルタブを開けて、それを口にしながら三本木はこっちにやって来る。
胡坐をかいて座ると、首を鳴らす。
「あー疲れた。っても、別に取り立てしてるだけだからなあ。
今度彬もやるか?」
「いや、俺は遠慮しておく」
「だよなー。そういや彬は会社継ぐのか?」
「……まあ、多分な」
「そうかー。彬なら完璧にこなしそうだな」
「何だよ、それ」
「そのまんまだよ。仕事の鬼になりそうじゃね?」
「親父の仕事にそんな情熱持ってねえよ」
「やってみればわかるって」
「……」
「あ。そうだ。お前が紹介してくれたオッサンいんじゃん?」
「……ああ」
それって、タエの父親の事か。
それがどうしたんだ。