あなたと、恋がしたい 【特別番外編】
タクシーに乗り込んで向かった場所は――。
見慣れたオフィス。こぎれいな白い建物……神野デザイン事務所だ。
一年八ヶ月ぶりとは思えない慣れた手つきで、昂生は事務所の鍵を開け、中に入る。
「アトリエだったら、ちゃんと綺麗に掃除してますよ」
「知ってるよ。さっきここ寄っていったから」
「え? そうなんですか」
「おまえに見せたいものがあるんだ」
二人で事務所の階段をあがっていく。
アトリエの部屋の鍵をあけると、まだあたたかい空気に触れる。昂生がここにいたからだろうか。果歩がアトリエの部屋を見たのが土曜日。丸一日なかったはずのものが部屋の中心にある。
純白のウエディングドレスを着せたトルソーを見て、あっと息を呑む。
散りばめられた宝石や精緻な刺繍が、雪の結晶のようにきらきらと煌めいていてとても綺麗だ――。
「これって……」
果歩の脳裏には空港で見送ったときに渡されたデザイン画が蘇ってくる。大切で大切すぎて毎日のように眺めていたから細部までちゃんとわかる。
「やっとできたよ。オートクチュールは最低でも一年半はかかるからな」
感慨深げに言って、昂生は電気をつけた。
明るい照明の下で、あたたかみのあるデザインがより鮮明に飛び込んでくる。
間違いない。あのデザイン画に描かれたウエディングドレスだ。
「形になったんですね……あのデザインの……」
果歩はドレスの生地にそっと指先を滑らせ感嘆のためいきをつく。
「仕事の合間にちょくちょく現場に立ち会ったんだ。その甲斐があっていい仕上がりになった」
「……私のためにって……うぬぼれてもいいですか?」
「他に誰がいるんだよ。おまえに着てほしくて作ったんだよ。今もこれからも……おまえだけだ」
背中から聞こえる声が熱っぽく、かつ照れている。果歩は感動して泣きそうになり、昂生の方を振り向けなくなってしまった。
見慣れたオフィス。こぎれいな白い建物……神野デザイン事務所だ。
一年八ヶ月ぶりとは思えない慣れた手つきで、昂生は事務所の鍵を開け、中に入る。
「アトリエだったら、ちゃんと綺麗に掃除してますよ」
「知ってるよ。さっきここ寄っていったから」
「え? そうなんですか」
「おまえに見せたいものがあるんだ」
二人で事務所の階段をあがっていく。
アトリエの部屋の鍵をあけると、まだあたたかい空気に触れる。昂生がここにいたからだろうか。果歩がアトリエの部屋を見たのが土曜日。丸一日なかったはずのものが部屋の中心にある。
純白のウエディングドレスを着せたトルソーを見て、あっと息を呑む。
散りばめられた宝石や精緻な刺繍が、雪の結晶のようにきらきらと煌めいていてとても綺麗だ――。
「これって……」
果歩の脳裏には空港で見送ったときに渡されたデザイン画が蘇ってくる。大切で大切すぎて毎日のように眺めていたから細部までちゃんとわかる。
「やっとできたよ。オートクチュールは最低でも一年半はかかるからな」
感慨深げに言って、昂生は電気をつけた。
明るい照明の下で、あたたかみのあるデザインがより鮮明に飛び込んでくる。
間違いない。あのデザイン画に描かれたウエディングドレスだ。
「形になったんですね……あのデザインの……」
果歩はドレスの生地にそっと指先を滑らせ感嘆のためいきをつく。
「仕事の合間にちょくちょく現場に立ち会ったんだ。その甲斐があっていい仕上がりになった」
「……私のためにって……うぬぼれてもいいですか?」
「他に誰がいるんだよ。おまえに着てほしくて作ったんだよ。今もこれからも……おまえだけだ」
背中から聞こえる声が熱っぽく、かつ照れている。果歩は感動して泣きそうになり、昂生の方を振り向けなくなってしまった。