潰れたリップクリーム。
宝物だったリップクリーム。
今じゃあ、グチャグチャでホコリやゴミがついていて役目の塗ることなんてできやしない。
「凜」
「…何?」
「俺さ、彼女ができたんだ」
「……そっか」
突然の告白。
グチャグチャなリップクリームを見たくなくて蓋をして机の上に置いた。
まるで現実から逃げたいという自分の気持を守るように…。
「凛と別れて2ヶ月で新しい彼女作るなんて自分でも最悪だと思う」
「…でも、好きなんでしょ?」
人差し指で押すとリップクリームは倒れ、コロコロと転がっていき机の上から消えてしまった。
「……あぁ」
「…同級生?」
「ん…同じ塾の子で志望校が一緒なんだ」
「そっか…」
床に落ちてもコロコロと転がるリップクリームはあたしたちから離れて教卓までいってしまった。
「凜には直接伝えたいと思って今日優に頼んだんだ」
志望校が一緒…か。
「…そっか」
「凜、俺っ」
「巧先輩、彼女さんと一緒に志望校に受かるといいですね」