再会は最高の媚薬
やっと聡史と普通に話せるようになったというのに、もう2次会への場所移動へとみんなの話は流れている。
その内容が私達にも聞こえて、お互い顔を見合わせる。そして聡史が聞いてきた。

「どうする?奈緒も行く?」

「う~ん、行こうかな・・」

曖昧な感じに答えてしまう。
少し気落ちしてしまったのを、なんとか笑顔でごまかす。
そして幹事の田中くんがお金を集めると、みんなは身支度をして次々に外へ向かった。

「じゃあこのままカラオケに移動ね」

田中くんがそう言うと、ぞろぞろと皆歩き出す。それに習って私も行こうとした所で、軽く腕を引かれた。

「え?」

その感触に驚いてその先を見ると、腕をつかんでいるのは聡史だった。
『何?』って聞こうとする前に、聡史がみんなに向かって言った。

「悪い、俺達まだ飲んで行くわ」

そう言いながら自分の横に私を寄せる。
突然のことに私の顔はポカンとなる。だって、そんな話してないし。なのに聡史は私を引っ張って歩いていく。

「えっ!ちょっと待って・・みんな・・」

言いながらみんなの方を見ると、驚いた顔をしている真紀と麻実がまず視界に入る。そして酒井くんと新城くんは笑顔を見せ、田中くんは「じゃあ、またな!」と言いながら手を振っている。
そんな状況に戸惑っている私の腕を引きながら聡史は、みんなに向かって「またな」と言って歩き出した。
そのまま近くのバーに連れて行かれて、カウンターに座った。

「何飲みたい?」

そう聞かれて、モヒートをお願いした。
そして未だ戸惑う私を察知しているかのように聞いてきた。

「みんなとカラオケ行きたかった?」

「う~ん、でもまた次回がありそうだし」

「ごめん、奈緒と話したかったから」

「ううん、私ももう少し話したかったし」

「もう少しだけ?」

聡史が顔を寄せながら冗談混じりに聞いてきたので焦ってしまう。
だってこんな風に甘い言葉言ったりしなかったから。

「いや・・もう少しって言うか・・」

私が言葉に迷っていると、「冗談」と いたずらに笑う。
そんな聡史を見ていると、自分の中で『やばい』 と警報がなる。
でも今の聡史になら私の懺悔を聞いてもらえる気がした。
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