君は僕を好きになる。
週明けからは、本当に最悪だった。
公言はせずとも、私と直哉が付き合っていることを周りは知っていて、そこに相模のあの告白。
「あれって結局どうなったの? 深山さん、何て返事したの?」
「分かんないけど、深山さんって……」
こんな風に、何故か他部署でまで噂になるのは、相手が直哉と相模だからだと思う。
将来有望で、営業成績は群を抜いている二人。
そんな二人に取り合われている、冴えない女――差し詰め、そんな感じだろうか。
こんな状態なのに、相模は何も変わらない。
「深山、先方が商談時間ずらして欲しいって。今から出れる?」
「あ、うん。今行く」
エレベーターでもエントランスでも、向けられる好奇の目を気もせず私の隣を歩く。
――むしろ変わったのは、直哉の方。
「……外出?」
「うん。直哉は?」
「今日はこのまま出先から直帰。じゃー、また明日」
前にも増して素っ気なくなった彼に、私はどうすればいいのか分からずにいた。
そんな日が数週間続いた、ある日。
直哉と見覚えのある女の人が、あの夜と同じように、腕を組んで歩いているのを偶然見かけたんだ。