遊川さんは今日も最強





「……すいませんでしたね」

「いやでも。いいのかぁ? 俺んち連れてったってよかったんだぜ?」

「ウチのですから。私が面倒見ます」

「まださっきの怒ってんのかよ。冗談だろ」

「冗談で済んだから、許してあげてるんじゃないですか」


なんか、会話がぼんやり頭に入ってくる。
横になってるのに頭がズキズキ痛むってなんだこれ。


「お前に惚れる男は大変だよな。格好よすぎて男のプライドがもたない」

「気にしてるんだから言わないでください」

「へぇ、そんな女心あったのかよ」

「あのね……」


なんかよく分からないけど、遊川さんをいじめるのはやめてもらえませんか。
俺は彼女の、格好良い所が好きなんですから。


「……寝言か。愛されてんじゃん」

「いいから邪魔者はさっさと帰ってください」

「へいへい」


会話は終わったらしく、ドアの閉まる音がする。
頭が痛くて目をあけるのも辛いんだが、状況を把握したい。

なんとか薄目を開けてみると、クリーム色の天井が見えた。
他には棚が見えるな。それからブラウンの小ぶりのデスク。シンプルでスッキリしているけど温かみのある部屋だ。

俺の部屋ではもちろんない。
……ってことは?


「網目、大丈夫?」


額に冷たいタオルがのせられる。

大丈夫ですよ。
俺なんか迷惑かけてます?
すいません、遊川さん。

そう言いたいけど、口が上手く動いているのかわからない。


「気にしないで寝なよ。お休み」


頭がガンガンして、良くも眠れないけど、かと言って起き上がれる気がしない。
諦めてそのまま横になっていると、どのくらい時間が経ったのか分からないけど電気が消された。


「……さっきはありがと」


とても小さな声と、頬に感じた柔らかい感触。
もしかしてと思うけど、目を開けて確認することさえこの時の俺には出来なくて。

可愛い遊川さんの妄想に心の中だけで悶えながら、俺の意識は再び闇に沈んでいった。


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