遊川さんは今日も最強


「すいません、迷惑かけて」

「礼なら三上さんに言うのね。網目をここまで運んで寝かせたのはあの人だから」

「え?」

「だから私は網目のパンツ姿も見てないし、一緒にも寝てないから。そんなビビんなくていいのよ。着替えたら言って、食事持ってくる」


遊川さんは折りたたみ式のテーブルを床に出し、再び出て行ってしまう。

なんだ。あの人が。
……ていうか、じゃああの人この部屋に入ったってことか? 

遊川さん、夜中に男を家に入れるなんてなんて無防備な。
……って、泊まった俺が偉そうに説教出来ない……!

それに、俺がベッドを占領したってことは遊川さんは床で寝たわけで。
もう最悪だ。俺何してんだよ。
 
とりあえず昨日の服を着こみ、遊川さんに声をかけると、お盆に入れた食事とコーヒーを運んできてくれた。


「どうせ大して食欲ないでしょ。味噌汁だけは飲みなさい。二日酔いの体を整えてくれるわよ」

「はい」


あ、旨い。
湯気の向こうに遊川さんがいるとか、すげー幸せな構図だよな。

と思いつつ、昨晩からの自らの失態を思い返すと恥ずかしくて顔が見れない。

男らしく遊川さんに告白するつもりだったのに。

まさか自分が先に酔っ払った挙句に彼女の部屋になだれ込んで介抱されるとか。
幸せなんだか情けないんだかさっぱりわからん。


「美味かったです。……あの」

「ん?」


落ち込みが止まらない。


「すいませんでした」


俺は頭を下げ、額を床に擦り付けた。
二度目の謝罪。自分の情けなさに顔が上げられない。

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