遊川さんは今日も最強
上から遊川さんの単調な声が落ちてくる。
「……なんで謝る?」
「だって俺、迷惑かけて」
「迷惑ねぇ。……ホントに迷惑なら途中で捨ててくるわよ」
「でも」
「いい加減にしなさいよ。それとも、アンタ私の部屋に来るの嫌だったの?」
「え?」
顎を上げられて、目線を彼女に合わせると、瞳の中に怒りの火が宿っていた。
あれ? 遊川さん怒ってる?
彼女はベッドに乗り上がり、俺を挟んで壁に手をついた。
ベッド全体が軽く揺れる。
「連れ込まれて嫌だったのならさっさと帰りなさい」
「遊川さん」
言葉とは裏腹に、完全にホールドされてますけど。
今や身動きをしたら彼女に触ってしまいそうなくらい近い。
「そうじゃないなら、女に恥かかせるもんじゃないわ」
そう言って、掠め取られた俺の唇。
咄嗟に目を閉じることも出来なくて、彼女の長いまつげが俺の視界に入る。
今度は血液上昇。
今日の俺の体内は忙しすぎる。冗談じゃなくバックンバックン心臓が暴れている。
やっぱり遊川さんは格好よくて可愛い。
アッサリと離れていく唇を追いかけようと身を乗り出したとき、下半身に巻き付いていた布団に足を取られてバランスを崩した俺は、遊川さんを巻き込んで床に倒れこむ。
「痛ったぁ」
「すいません、遊川さん、俺」
床に広がる彼女の髪。慌てて腕で上半身を持ち上げ、彼女から離れるも、直ぐ下に驚いたように目を見張る彼女がいる。
こ、これはいわゆる床ドン状態。
心臓がヤバイ。汗が湧き出る。
遊川さんの唇、化粧してなくてもつやつやしている……とか。
やらしーことばかり思いつくのは男の本能。