S系課長のアメとムチ~恋はお叱りのあとで~

こんな時、社内恋愛はいい。

まず、同じ職場だから、相手の状況はすぐに察知できる。
直接的に仕事のフォローをし合うともあるが、それ以外にも自分の経験から忙しい時にどんなことをしたら相手が喜ぶのかを理解している。
絶妙なタイミングでの差し入れに励まされたり、何気なく掛けられた言葉に救われたりする。

そもそも、この忙しさを‘’分かって‘’もらえているというだけでも、ポイントは高い。
いくら仕事と言えど、こんなに彼女を放置していたら、普通なら、状況を延々と説明したところで、怒られて、呆れられて、下手をすると捨てられている。

ところが、この部下であり恋人でもある彼女は、俺が仕事に専念できるように洗濯をこなし、俺の体を気遣って野菜たっぷりのスープを差し入れるという、物分かりの良さ。
社内恋愛は気を遣うことも確かに多いが、それ以上に良いところも多いと痛感する毎日だ。


「残りは冷蔵庫と冷凍庫に入れてますから、チンして食べてくださいね。」

そう言いながら彼女はキッチンから出てきて、俺の向かい側に座る。

彼女の食卓にも、同じようにスープのカップ。


そして…

コンビニ弁当。

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