誘わないで
 
 階段を降りると1階のロビーに繋がっていて、無人の受付とは反対方向の実験棟方面に向かうと脇に逸れる廊下がある。

 そこを入ってすぐの所が給湯室だ。

 社内の内側に位置する給湯室には、窓がない。

 使う人がいなければ昼間でも真っ暗なそこは、照明を点けても何処と無く淋しさを感じさせられた。

 それでもなぜか落ち着くような気がしてしまうのは、ほんのりと珈琲の芳ばしい香りが漂っているからだろうか。
 
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