結婚記念日
陽平の事だ。11時までは待とう。それまでに帰ってきたら「おかえり」と、笑顔で迎えよう。そう思っていたのに・・・

「おかえりなさい」

できるだけ、何の感情も込めないように言う。陽平の肩が、あからさまにビクッと跳ねる。

「ただいま。起きてたんだ・・・」

「寝てた方が、よかった?」

娘達の間から、体を起こしながら、声をかける。ダメだ、棘が隠せない。

陽平は答えず、スーツの上着を脱いでいる。

「ねえ、陽平の時計は、まだ9時半になってないの?私の時間が、間違ってるのかな?」

我ながら、嫌味な言い方だ。

陽平は、短く溜め息を吐くと、上着を脱ぎ、ネクタイを外しただけで、寝室を出ていく。

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