キスしなかったのは……
連れて行ってもらった飲み屋さんは、課長の友人のお店。

課長のくつろいだ雰囲気を間近でみることができて、つい口が滑った。




『女嫌いなんですか?』





何の話題だったか忘れたけど、ひと笑い終えたところだった。


唐突なあたしの一言に、課長もお友だちも完全にフリーズしてた。




あれ?



やっぱりホントの事だったの?って焦ったのを覚えてる。




もしかしたら、凄くデリケートな話題だったんじゃないかって……うつむいたあたしの旋毛にプッと吹き出した課長






「咲良がどうしてそう思ったのか分からないけど、俺は女嫌いじゃないよ。試してみる?」




ひどく妖艶な空気に包まれた課長の手が、あたしの頬を撫でた。




心臓は爆発寸前。




顔はゆでダコ状態。




なにより私を落ち着かせないのは、課長が、何気なく口にしたあたしの名前。

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