キスしなかったのは……
課長とは何事もなかったかのように接している。




というか、バレない程度に避けている。




この1週間、課長への気持ちは、膨らむばかりで、夢だと諦めることもできなかった。






だから、今の冷たい態度は、ショックだった。





「どうしたの?咲良ちゃん」



「あ……ううん。何でもないよ」





「戻ろうか」と肩に手をおいた合コン相手に促されて席に戻る。



チラリと横目で課長の戻っていった方を伺い見ると、髪の長い女性と向かい合って談笑する課長の横顔が見える。




──やっぱりいるんだ。女の人





心の中に天気があるとすれば、ゲリラ豪雨。大荒れだ。





「あのふたりお似合いだね」とやたら陽気な彼の言葉に、プツっと何かが切れた。





それからの記憶は曖昧。
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