キスしなかったのは……
時々盗み見た課長の横顔は、うっとりするほどカッコ良くて、その笑顔が自分に向けられてるものじゃないと落ち込んで、また心が荒れる……



浴びるように呑んだお酒の量は不明。




2次会に向かうみんなの後をフラつく足で追う。

外に出たところで、やたらあたしに酒を勧めてた彼が、あたしの手を取り路地裏へ引き入れた。


ヤバイと思ったときには、もう手遅れ。




私の体はしっかり壁と彼の体に挟まれ、両脇は腕で囲まれていた。




「このまま消えない?俺と」




さっきまでの柔らかな印象は影もなく、ねっとりとした声色で囁く彼に、ゾワリと悪寒がする。




「やだ」


「いいじゃん」


「やだっていってるでしょ」


「楽しもうよ」





この繰り返しを数回したところで、突如目の前に立ち塞がっていた彼の姿が消えた。
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