悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「ひっどい……!」


悲しみより怒りで声が震える。

文字の感じからして、きっと同一犯だろう。

あたしだけじゃなくて、何もしてない亜美のことまでこんな悪口を書くなんて……!

あたしと仲良くしてるから? ただそれだけの理由なら許せない!


切れそうになるくらい唇を噛みしめるあたしに、はっとした亜美は無理やり笑顔を作ってみせる。


「……私もやられちゃった! でもノートでよかった、また新しいの買えばいいだけだし」


明るく言う姿を見ると、すごく胸が痛い。


「ごめんね、亜美……あたしのせいで」

「何言ってるの、ひよちゃんのせいなんかじゃないよ!」


気にしない気にしない、と笑って言う亜美だけど、嫌な気持ちにならないはずがない。

怪しいお嬢様の二人をキッと睨みつけると、何かをコソコソと話し合っている。もしや作戦会議とか?


彼女達とは前からソリが合わないと思っていたけど、まさかこんなことをしてくるとはね……。

本当に、どうすればこの連鎖を止められるの?

このままやられてばっかりでいたくないのに。


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