悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
言い返したいけど、もう今はそんな気力も出そうになくて、あたしは黙って落としたものを集めた。
これで全部かなと思って立ち上がると、リカが伏し目がちにどこかをぼんやり見ていることに気付く。
その表情には冷たさを感じて、ついさっきまでの女王様の迫力がなくなっている。
「……リカ?」
なんだか奇妙でとりあえず声を掛けてみると、彼女は何も言わずにぐっと手を握りしめ、くるりと身をひるがえして実験室から出ていってしまった。
リカの後から来たお嬢様友達も、引き返していく彼女を見て首をかしげている。
「急にどうしたんだろ……」
「わ、ひよちゃん膝赤くなってる」
「げ。またアザになるじゃん!」
クスクスと笑いながら横を通り過ぎていくお嬢様方にイラッとしつつも、亜美に宥められてなんとか気を落ち着かせる。
あたし達のやり取りを見ていた他のクラスメイトにも、「ドジだねー」なんて笑われたけど、嫌味に感じない彼女達には笑って返した。
そんなふうにしている間に、リカの異変のことは気にならなくなっていた。
これで全部かなと思って立ち上がると、リカが伏し目がちにどこかをぼんやり見ていることに気付く。
その表情には冷たさを感じて、ついさっきまでの女王様の迫力がなくなっている。
「……リカ?」
なんだか奇妙でとりあえず声を掛けてみると、彼女は何も言わずにぐっと手を握りしめ、くるりと身をひるがえして実験室から出ていってしまった。
リカの後から来たお嬢様友達も、引き返していく彼女を見て首をかしげている。
「急にどうしたんだろ……」
「わ、ひよちゃん膝赤くなってる」
「げ。またアザになるじゃん!」
クスクスと笑いながら横を通り過ぎていくお嬢様方にイラッとしつつも、亜美に宥められてなんとか気を落ち着かせる。
あたし達のやり取りを見ていた他のクラスメイトにも、「ドジだねー」なんて笑われたけど、嫌味に感じない彼女達には笑って返した。
そんなふうにしている間に、リカの異変のことは気にならなくなっていた。