悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~

全員が揃うと、パイプオルガンの音色に合わせて賛美歌を歌って礼拝する。

プロテスタント校である葉藍は、この時の礼儀作法には厳しいけど、その後の生活は比較的自由だ。

だから、授業が自習なんてことになった場合は。



「自習中にこれ調べておけだって。やるわけないじゃん」

「ねぇ、誰か漫画持ってない? 貸してー」

「お腹すいた~。早弁しよ」


やりたい放題の我がクラス。

一応隣のクラスから注意されないように声は控えめにしているけど、男子の目がないと女らしくする必要もないから、いつもこんな状態だ。

中にはリカみたいに比較的お上品なお嬢様のグループもあるけど、それはほんの一部。

かく言うあたしも、すでに亜美と机をくっつけてお弁当を広げている。


「亜美のお弁当、なんか今日可愛いね」

「今日は自分で作ったの。時間あったから」

「げ! 自分で作るとかすごすぎる!」

「でもほとんど冷凍だよ」

「それにしたって、このお花みたいなハムとかさー。やっぱり女子力高いわ、尊敬」


スカートめくりしたり、お尻とか胸とか平気で触りまくる女子達の中にいると、亜美の女の子らしさはより際立つ。

か弱い小動物みたいに可愛いし、男嫌いじゃなければすぐ彼氏が出来るだろうに。

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