悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
あたしも見習わなきゃなー……と、亜美のお弁当をまじまじと観察しながら卵焼きをかじっていると。


「あなた達、食堂に行くお金もないの? 今日のランチはビーフストロガノフだっていうのに」


驚きと呆れが混ざったような声を上げるのは、もちろんリカ。

恐ろしいのは、彼女的にこれは嫌味じゃなく、思ったことを素直に聞いているだけだということ。

あたしはリカを見上げてじとっとした視線を送る。


「お金がないわけじゃないけど節約」

「節約ねぇ。そんな貧乏臭いこと言うひよりには、この話はもってこいよ」


すると、リカはあたしと亜美に見えるように一枚のチラシを掲げた。


「ケーキ半額券をもらったの。放課後行かない?」

「「おぉ~♪」」


魅力的なお誘いに、あたし達のテンションが一気に上がる。

なによリカ、たまにはいいことしてくれるじゃん!


「でも、何であたし達と?」


リカとは高校からの付き合いで、あたし達とは特別仲が良いわけでもない。

誘うならリカがいつもつるんでるお嬢様グループのコにすればいいのに。

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