一難去って、またイチナン?
「私たちはもう終わったんです」
「もう一度やり直したいんだ、知華」
握り締める手に力を込めるけど、いくら縋っても無駄。
『よりを戻したい』と何度訴えられても、私にはそんな気持ちは毛頭無い。
寧ろ、訴えられるほどに気持ちは離れていく。
最近では週に一度、プロジェクト会議の横通しを名目に呼び出して復縁を迫るけど逆効果。
「知華、君しかいないんだ」
青山主任が私の手を引き寄せる。
嫌悪感に任せて、手を振り払った。
「青山主任、もう仕事以外のことで呼び出さないでください。失礼します」
気持ちを吐き出して、机上の資料を手早く纏めた。呆然とする青山主任を置き去りに、資料を抱えて会議室を出ようと歩き出す。
「知華、頼む、俺の話を聞いてくれ」
背後から腕を強く引かれて、抱えていた資料がこぼれ落ちていく。受け止めようと伸ばした腕を青山主任が掴んだ。