真夜中のパレード


外に踏み出して見つけたのは、真新しい太陽だった。


昨日だって、今日だって、明日だって。

きっと、今見ているのと同じ太陽は二度とのぼらない。
今日という日は、もう二度とやってこない。


すり抜けて行く風も、道に咲いている花も、
今一瞬だけの物かもしれない。


一瞬だけ輝くために、ずっと頑張ってるのかもしれない。


自分はいつも卑屈なことを考えて、
きっとそんな大切なことを忘れていた。

道を歩く人が、
透子のことをチラチラと何度も振り返る。


それでも透子は笑いながら、
背筋を伸ばして会社までの道を歩いた。


「おはようございます」


受付で座っている顔見知りの社員に声をかけると、
間の抜けた顔をしていた。


会社について、
最初に透子を見つけたのは三人組の女子社員達だった。


彼女たちはお菓子を食べながら談笑している。
そしていつものように透子に挨拶をした。


「あ、七瀬さん、おは……」

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