真夜中のパレード
昨日眠らない決意をして、
取りあえず天音が目にはいらないように
ベッドに背を向けて座っていた。
しかし、何もすることがない。
部屋は暗くて本も読めないし、
彼女が起きるといけないのでテレビも見られないし、
すぐにやることがなくなってしまった。
なので素数を数えて無心になろうとしていたけれど、
結局気がついたら眠ってしまっていたらしい。
「最近はやりの健康法なんです。
姿勢がよくなるとか」
「え? 本当ですか?」
「嘘です」
上条は立ち上がり、頭をかいた。
「少し待ってくださいね、準備しますから。
近くの店に何か食べに行きましょう」
「はい」
ミケの飲む水を取り替え、
皿にキャットフードを流しいれる。
天音は嬉しそうにミケに近寄り、頭を撫でた。
「おはよう、ミケさん。
今日もかわいいですね」
ミケはすっかりなついたらしく、
喉を鳴らして彼女に頬ずりした。
「ふふ、くすぐったい」
嬉しそうにミケに顔を寄せ、優しい手つきで喉の下を転がしている。
俺も猫に生まれたかった。
そんなバカなことを一瞬本気で考えてしまう。