課長が私に恋してる?
「羨ましいのか」
漂ってくるのは、アロマであろうカモミールの匂い。
それにのって、課長の低く固い声。
「いつもひとりだと多少はそう思いますよ」
不服そうに唇を尖らせたあと、天上を仰いだ。
星が出てくる。普段だと見えるはずもない、満天の。
「羨ましいのか、キス」
その声に、へ?と間抜けな声を出す。
見えないけれど如月の方を振り向いた。
ぐい、と引かれたのは右腕。
カモミールを打ち消す、如月のマリンノート。
「キスしてもいいか」
「………っ」
台詞のリズムで息が琴子の唇に触れて。
あまりに近い距離に動けなくなる。
少しでも動いたらきっと触れてしまう。
「ま、待って……」
意識が全部唇に集中する。
こんな風に、触れてくるなんて一体いつ予想できただろう。