課長が私に恋してる?
「…………冗談だ」
永遠にも思えた時間が幻だったかのように、ふい、と課長は近づいていた距離を元に戻した。
「なにぼーっとしてるんだ。星見ろ、星。綺麗だぞ」
その声にも構わず、じっと、穴が空くほど如月を見つめる。
からかわれた、と普段なら歯向かうところだけれど、今はちがった。
(…………課長は冗談なんかにしたくないはずだ)
「怖じ気づいたんですか?」
挑戦的に彼を見上げた。
別にこのまま、冗談キツイですよ、と流すことも出来たのだろうけれど。
(この前の、襲われると思ったら電気消しただけの時と一緒じゃないか。
こんな風に冗談で誤魔化して、なんでもできると思ってるならそれは大間違いだ)
なら、琴子だってやり返してやる。
「弱虫」
小さな声でそう呟く。