課長が私に恋してる?
すると如月は、一瞬怯んだように顔を強張らせた。
瞳の中には脅えにも似た色が微かに浮かぶ。
「できないなら最初から言わないことです。
それに手を出さない、って言ったこと、わたし信じてないわけじゃないんですから」
そしてその約束が、彼を家に置く上での安心材料になっていることも確かなのだ。
(私が課長を好きなら、さっさと手を出して欲しいって思うかもしれない。
でも今はまだ、そんな気にはなってない。むしろ私は……)
琴子の言葉に如月は、バツが悪そうに顔を背けた。
琴子もまた、星を見るため天上を仰ぐ。
「………悪い」
「………」
「冗談にしたくないのは俺の方だ。
……自分があまり自制が効かない方だって、初めて知った」
そう言って自嘲気味に彼は長く長くため息をつく。
「……課長って」
「なんだ」
「なんか、可愛いですよね」
「…………。馬鹿にしてるのか貶してるのかどっちだ」