足音
「失礼します。2-Aの、南です」
挨拶を済ませ、担任の席へ向かう。
整理整頓がなっていない机の上に、ポツンというかドサッとそれはあった。
《学級委員の南さま。お頼み申す》
そんなメモが貼り付けられた、大量のプリント。
ごっちゃごちゃの机から紙を引き剥がすようにして取り、よっこらと運ぶ。
「失礼しました」というと、近くの先生にドアを開けてもらった。
両手が塞がっていたので大いに助かる。
礼を述べ、職員室から出た。
彼女の姿が見えない。
当然か。
彼女が望んだ言葉は拒絶じゃなかったはずだ。
『万々歳じゃん』
そんな言葉を突きつけられて、逃げるように消えるなんて。
よくある話。
その反動で彼女は彼と付き合い、恋人となり――
だめだ、想像はしないに限る。
教室に向かうため、一人で廊下を突き進む。
一人ぶんの上履きの音。
パタパタパタパタ言う音は、消えた。