足音

「失礼します。2-Aの、南です」

挨拶を済ませ、担任の席へ向かう。

整理整頓がなっていない机の上に、ポツンというかドサッとそれはあった。


《学級委員の南さま。お頼み申す》


そんなメモが貼り付けられた、大量のプリント。

ごっちゃごちゃの机から紙を引き剥がすようにして取り、よっこらと運ぶ。


「失礼しました」というと、近くの先生にドアを開けてもらった。

両手が塞がっていたので大いに助かる。

礼を述べ、職員室から出た。



彼女の姿が見えない。



当然か。


彼女が望んだ言葉は拒絶じゃなかったはずだ。


『万々歳じゃん』


そんな言葉を突きつけられて、逃げるように消えるなんて。

よくある話。

その反動で彼女は彼と付き合い、恋人となり――



だめだ、想像はしないに限る。



教室に向かうため、一人で廊下を突き進む。


一人ぶんの上履きの音。


パタパタパタパタ言う音は、消えた。

< 10 / 31 >

この作品をシェア

pagetop