足音

◇◇◇




『なら、一緒に逃げようよ』


『へ?』




意外だった。


彼がそう言ったのは。




体育祭の打ち上げのメンバーを探せと言われ、とりあえず全員を目指した馬鹿な私。

だって、嫌だった。


喋らないから、盛り上がらないから。

ただそれだけでクラスの一員を呼ばないのは。


一緒に汗水垂らして頑張ったのに、なんで馴れ合おうとかしないのか、わかんなくて。



私は彼を誘った。



クラス内では喋る人はまずいない彼。

教室の隅で、いつもひっそり音楽を聴くか本を読んでいる。


『あ、南ぃ。今度体育祭の打ち上げやるんだけど来ない?』


あとで、しこたま怒られた。


なんであんな奴呼ぶんだ、とか。

盛り上がんないじゃん、とか。


ごめんごめん〜と笑いながら、私は思った。




ああ、この空間大っ嫌いって。



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