足音
カラオケという必然的に盛り上がらなきゃいけない空間においても、彼はいつものペース。
なんだか興味を持って、一緒に帰ってみた。
『南はあーゆーの嫌い?』
『嫌い』
ああやっぱり。
胸のどこかがホッと和らぐ。
嫌いと思う同士がいたことに。
『雰囲気が嫌いそうだもんね、打ち上げとか』
『慣れないから』
『ハハ』
『加世は?』
『ん?私も嫌いだよ』
すんなりと言った己に、ほんの少しびびる。
でも、彼なら話してもいいような気がしたのだ。
たぶん、誰にも話さない。
…話せないの間違いかもしれないけど。
『意外、好きかと思ってた』
違うよ、全然。
『あー…私、結構嫌いなの。あーゆーきゃいきゃいしたの、なんか怖くて』
『…』
ポンポンと言葉が出てくる。
滑るように流れた言葉を彼がどう返すのか。
興味が沸く。